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 2014 MANGA Best Selection
 〜不惑のプレ四十代、青い鳥を探して〜
 
 
 2013年に続いて2014年もベストマンガの企画をやることになりました。大変有り難いことです。
 今回は諸事情により2名ではありますが、楽しんでいただければ幸いです。
 
 from 
											
											INOMATA
 
 
 年が明けてしまいましたが今年もこの企画を継続させて頂きます。
 前回、初の試みでしたが音楽業界だけではなく、それ以外の方々から嬉しい反響を沢山頂きました。
 チェックして頂いた方々、有り難うございました。今回もゆっくりチェックしてみてください。
 残念ながら左近は不参加ですが、INOMATA氏、jacob、忙しい中、有り難うございました。
 
 from Katsunori Tatenuma (OPUESTO)
 
 
 
 ・INOMATA
 1977年生まれ。長年某レコードショップ勤務/バイヤー。サブカル愛好家。時々DJ。
 
 ・mackie (jacob)
 1977年生まれ。新潟を中心に活動中。イベント「red race riot!」主宰。オーガナイザー/DJ。
 
 
 
 INOMATA Selection
 
 
  ※今回は順不同です。
 
 
 『繕い裁つ人』池辺葵
 
 池辺葵という漫画家を知ることができて2014年前半はとても濃いマンガライフをおくることができました。
 「どぶがわ」「サウダーデ」など。微妙な表情が際だつ白い画面と素晴らしいセリフの数々。いい意味で、映画的。
 わずかな変化を楽しめる静謐な世界観は圧倒的です。
 
 
 『がらくたストリート』山田 穣
 
 一言でいうと百科事典のようなマンガ。学術的ではなく雑学的に知識がストーリーに絡むような絡まないような。
 とてもつかみづらい話なんですが、駄話が延々続くけどつまらない訳ではない不思議さ。諸星大二郎にこち亀を足して
 よつばとで割ったら・・、は言い過ぎか。でもあながちそれほど遠くもないような・・・。
 
 
 『ハルロック』西餅
 
 趣味がハンダとかを使っちゃう系の電子工作の女子大生が主人公のマンガ。説明だけで、ハルロックの変さがじわじわ
 つたわってくるだろう。二巻が出て俄然面白くなってきた。キテレツのように街のトラブル、お悩みを電子工作で
 解決しようとするんだけれども、基盤とかコンデンサとか使ってかなり専門的な内容。ただし、いろいろと残念な
 キャラやエピソードで濃い口に味付けされていて、結果、かなり変わったストーリー・ギャグが出来上がり。
 好きな子 にドライバーとかで分解されたい男の子がお気に入りの変人。
 
 
 『まちあわせ』田中雄一
 
 5年前から一部の好きモノの間で待ち望まれて いた単行本 ("このマンガを読めで"、吉田豪さんが真っ先にピックアップしていた!)。
 アフターヌーンに読み切りが掲載される度に玄人筋をうならせてきた異形のクリーチャーが沢山でてくるSF作品。
 確かな絶望と僅かな希望。心地よいユーモアとハードなストーリー。ギレルモ・デル・トロで映画化希望のデビュー作
 「害虫駆除局」は必読。
 
 
 『ムシヌユン』都留 泰作
 
 傑作沖縄SFマンガ・ナチュンの後に始めた作品はまたしても沖縄が舞台だった。ただし、さらにドープ、よりアシッド
 になって。文化人類学者であり、現役の大学の準教授でもある作者による緻密で人間くさい 絵で、相当ぶっ飛んだ展開で
 進むストーリーは一巻を読んだだけでは全く理解できない。でも、異常な気迫、念のようなものがガンガンに入ってきて、
 読後はぐったりするでしょう。ちなみに所々ある顔芸が素晴らしいので、そちらもお見逃しなく。
 
 
 『あとかたの街』おざわ ゆき
 
 シベリアに抑留された日本人捕虜の話をつづった「凍りの手」に続く本作は太平洋戦争の名古屋大空襲を元にしている。
 こうの史世が広島を舞台に空襲や原爆を描いてきたようにおざわゆきは戦時下の名古屋を描く。日々のくらしにある小さな
 喜びや小さな怒り。恋愛や友情。そんな今と変わらない当たり前の生活を破壊するものたち。リアリティは残酷で、
 だからこその息づかいを感じて、そして伝わってくるものがあるって感じる次第。
 
 『先生の白い嘘』鳥飼茜
 
 10代のころ内田春菊のマンガを読むと怒られている気がした。女の子とつきあったこともない童貞のくせに。奪う側、
 与える側。暴力含めてあらゆる手段をつかって、おまえらはそういうことをしてきたよな、って言われている、ような。
 でも。これは男だけではなく、女も批判する(批判という表現は適正じゃないかも知れないけども)。
 あんたらはそれでいいの!?って。
 自分がジェンダー的なものいいをするには知識不足なので、これ以上は本作を読んでほしいだけですが、ジャンプしか読まない
 サラリーマンや議員とかのおじさんには読ませてみたい。ただ、エロいとしか感じないのならば、お粗末様です。
 
 
 『それでも町は廻っている』石黒正数
 
 説明不要の人気ご近所ユーモア探偵マンガ・・・、でいいのかな。とある町内をメインにちょっと間抜けな女子高生が
 ちょっとした事件を解決する人気作。ここで取り上げる必要もないぐらい、読んでる人は読ん でるんだけども、
 この巻は、いいエピドードが沢山あるので選ばずにはいられなかった。クラスメイトのモテ妄想や廃村の王道ミステリーな
 エピソードもいいけど、紺先輩の卓球話は本当に素晴らしいのでオススメです。
 (それ町は単行本の話が連続ではなくシャッフルされた時系列なので、どこから読んでもよいのです)
 
 
 『げんしけん』木尾 士目
 
 ずーっと面白いオタク大学生青春グラフィティ。いつでも安定して面白いので、選ぶつもりはなかったのですが、
 長いことこじらせている登場人物、斑目に本巻でおきる事件が生々しくて面白くて身につまされて秀逸すぎて
 たまらなかったのだ。後輩の妹が働いているキャバクラに行って、まあ色々あるんですが、女の恐ろしさを文字通り
 体感してくる展開にはリアリティしかなかったなぁ。この人こういうのやらせるとすごいうまい(初期作品の身も蓋も
 ない男女の話はどれもオススメ)。まさにモテキ、だね。
 
 
 『夜とコンクリート』町田 洋
 
 文学なんて語れるほど読んできた訳じゃない。叙情を説明できるほど年と食ってる訳でもない。それでも、ここには
 文学的で素晴らしい叙情が静かにある。4つのエピソードどれも素晴らしく、タイトルどおり夜に読んでいただきたい
 作品ばかり。あえてオススメを選べば「夏休みの町」をあげたい。 山本直樹のような白昼夢的な世界の中、
 ひょうひょうとしたキャラクターたちが裏山で朽ちた戦闘機に出会う。いわゆる「マンガ」がうまいひと。
 
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 〜総評とオマケ〜
 
 個人的には職場も変わり仕事の内容も変わり、生活の変化が起きました。
 一昨年に比べて読む本数見る本数は変わらずといったところですが。
 
 10本チョイスはかぶらないように選んだ感じです。
 阿部共実、大今良時両氏の「このマンガがすごい」受賞で、自動的にはずしました。
 
 
 さて、今年ガツンときた5本を選んでみました。全部政治の話になっちゃってますね。全部ぬるくない。
 直接的なものから限定的、はたまた作品を取り巻く環境がそういったものに巻き込まれてしまっていたり。
 
 2015年もますます混沌としてくるでしょうか、言うべきことを言ってる作品は断固絶対支持、
 ってスタイルでどうぞよろしく。
 
 
 ・映画『ウルフオブウォールストリート』
 
 ほんとにディカプリオが××を○○して△△になるシーンはどんなコメディー映画より爆笑させてもらいました。
 悪徳の栄え、とでもいいましょうか。共産党の人とかはどう思うのだろうか、とちょっと思ってしまった。
 
 
 ・音楽『坂本慎太郎・ナマで踊ろう』
 
 とにかく今年はコレ。政治的なメッセージをはっきりと言わねばならぬ現状で、音の強度を保ちながら、
 ここまでの作品を送り出してくる才能に改めて凄みを感じます。サザンが現状あんなことになっているのを見ながら、
 次は宇多田さんがどうでてくるのか、とても気になっています。
 
 
 ・アニメ『キルラキル』
 
 作品としてのクオリティはいまさら言う必要もないほど、一般層も面白いと感じられるアニメは宮崎庵野細田だけ
 じゃないですよ。正直国産ドラマよりアニメの方が打率が高いと思ってしまっているのです。
 「世界は一枚の布ではない。なんだかよくわからないものに溢れているから、この世界は美しい。」まじ泣けたっす。
 
 
 ・映画『アクトオブキリング』
 
 すぐにカスだのゴミだの反日だの悪魔だの人を一色で決めるのは僕らのうっかり癖なわけですが、本作を見れば、
 そうではないことを思い出させてくれる。にこにことした好好爺が過去の虐殺に荷担していて。
 それをなんとも思っていないという。
 ただ、そこから先がすごい。自分の過去をロールプレイすることによって・・・。善悪の判断は立ち位置によってかわり、
 時に信じられないようなことをする可能性は誰にだってある。客観的にそんな自分を見ることができたなら・・・。
 
 
 ・漫画『ハイスコア・ガール』
 
 復活してほしいので、これだけこちらの枠で。サブカルあがりとしては、今のオタク連中の生ぬるくて現状維持で
 カウンター要素が皆無なところがスゲー好きでない。
 一個のすばらしい作品がなくなるってのに、なんだか他人事だ。そりゃ他人事だけどもさ。著作権の話でもあり
 表現の規制の話でもあるんだから、放置してたら、世の中つまんなくなるよ、ねぇ。聞いてる?
 
 2015年01月
 INOMATA
 
 
 
 
 mackie (jacob) Selection
 
 
  
 
 10位
 『RECORD』藤原カムイ
 
 2011年発売ですが、今回の企画で読み返してみたら面白いので◎
 レコードっていうメディアの良さを、藤原カムイっぽく、素敵に面白い話になっています。
 
 
 9位
 『先生の白い嘘』鳥飼 茜
 
 理不尽な世界は変わらなくても、心は変わることが出来る。読めばわかる、作者がニヤニヤしたり、
 苦しんだりしながら描かれている物語。暴力的で品が良い。読むと心が変わる作品です◎
 
 
 8位
 『黄門さま』徳弘 正也
 
 大好きな徳弘正也の新作!外せません!日本人のほとんどが知っているあの水戸黄門の話をギャグと風刺とエロを
 効かせて描く、徳弘正也の世界観丸出しの時代劇◎「力を持つ者が正義を失えば世の中は地獄だ」
 
 
 7位
 『レッツ★ラグーン』岡崎 武士
 
 タイムトラベル的な物語が好きで、その上、可愛い女の子と無人島に漂着するっていう、夢みたいなお話◎
 14年振りの復帰作品なので、健康に気をつけて、最後まで書き上げて欲しいです。
 
 
 6位
 『あの商店街の、本屋の、小さな奥さんの話』高橋 しん
 
 便利で使ってしまう、インターネットの大手通販サイト。便利なので僕も使ってしまいますが、本はやっぱり書店で
 買いたい。街の本屋さんの素敵さを、この作者っぽく、ほっこりと描いています◎自分の本棚は、自分を表していると
 思いますし、書店の本棚は、その書店の素晴らしさを表しているのだと思います。本棚を眺めに行くだけでも、
 書店に行く楽しみはあります◎
 
 
 5位
 『ゆうやみ特攻隊』押切 蓮介
 
 超名作ゲームの夕闇通り探検隊からイメージして始まった連載は、初期は作者が得意のホラーギャグでしたが、
 途中からシリアス路線へ変更。主人公の辻くんが過去を背負いながら成長して、最後まで戦いぬく。
 押切氏本人も大変だろうが、最後まで頑張って欲しい!はやくハイスコアガールの続きが読みたい!!
 
 
 4位
 『聲の形』大今 良時
 
 このマンガがすごい!2015にも選ばれています。本当にこの漫画は凄いです。人が人に気持ちを伝えることの
 難しさというテーマの物語。現在6巻まで出ていますが、新刊が出る度に嗚咽しながら読んでいます◎
 
 
 3位
 『死にたくなるしょうもない日々がしにたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』阿部 共実
 
 年末にギリギリ滑り込んだ、阿部共実の最新作。「ちーちゃんはちょっと足りない」が"このマンガがすごい!2015"
 に選ばれてましたが、短編がガシガシ心に迫ってくるこちらの方が好きです◎
 まぁ結論としては、阿部共実は素晴らしいっ!て事です◎
 
 
 2位
 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』浅野 いにお
 
 雑誌での新連載の時、1話を読んだ時には、あまり興味がわかなかったのですが、やっぱり気になるので単行本を
 手にとってみたら、くそやばい!世の中がひっくり返るような事が起きても僕たちの日常は変わりはしない。
 日常を暮らさなければならないけど、でもやっぱり世の中の事だって気にはなるので、冗談を交えて、照れながら、
 真面目で不真面目に話そう。
 
 
 1位
 『新世紀エヴァンゲリオン』貞本 義行
 
 遂に完結です!!写真は限定版の表紙ですが、通常版の雪の降っている表紙と、雪の中降る最終話が印象的で、
 四季が戻ったのか、それとも常に雪の降る世界になったのか。アニメとも、映画とも違う、漫画ならではの描き方が
 素晴らしいです。最終話の後にのっている話も含めて、まだ2015年の劇場版の公開を期待している事を含めての1位です。
 
 
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 〜総評とオマケ〜
 
 年をとりますと、好きな作風とか、作家さんが固定してきますよね。今回は特にそーいう作品を選んだなと思います。
 良い事なのか、悪い事なのかわかりませんが、好きな作家さんが、面白いの作品を出すのだから、ずっと応援していたいですし、
 その中で新しい作品にも出会えたら嬉しいなと思いながら、本屋さんに通うんだと思います◎
 同じ理由で、レコード屋さんに通うし、映画館に通うし、ライブも観たいし。新しい発見があると良いなと期待しながら
 出掛けると楽しいですよ◎
 
 さて、そんな事もふまえて、2014年を振り返ってみて、いろんなことから選びますと。。。
 
 5位
 小説『親愛なる』
 
 いとうせいこう著の小説がbccksのサービスを使って、一人一人に特別な形で届く。内容もサービスも素敵な一冊。
 
 
 4位
 『虐殺器官・ハーモニー・屍者の帝国アニメ化』
 
 伊藤projectが揃ってアニメ化。公開はこれからですが、待ち遠しくて仕方がない!
 
 
 3位
 『aphex twin "syro"リリース』
 
 13年振りのリリースに飛び上がった!と同時に時の流れの速さの凄さを感じた。
 
 
 2位
 『猫を飼う』
 
 秋頃に、餌を与えていたノラ猫が着いて来たので、飼うことにしました。生活が色々と変わりました◎
 三味線と名付けましたが、元ネタはアレです。
 
 
 1位
 『4.29 red race riot!丸10年!』
 
 2004年の4月29日にred race riot!のvol.1を開催して、2014年の4/29に丸10年を迎える事が出来ました◎
 しかも、その記念日に僕の街のレコード屋さん"shabby sic ポエトリー"主催のイベントがあり、
 その日にDJが出来たことが本当に嬉しかったです◎
 
 
 と、こんな2014年を振り返りました。
 2015年も、こんな素敵な年になると良いなと思いながら、ペースを崩さずに、暮らして行けたらなと思っております。
 
 
 2015年01月
 mackie
 
 
 (2015/01/16更新)
 
 
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